アジア人で初のノーベル経済学賞を受賞したセン教授の思想が明快に表された、4つの講演論文が収められています。
4つの論文のテーマは、経済、政治、人権、「人間の安全保障」と、それぞれ異なっていますが、全てに一貫しているセン教授の思想的土台を読み取ることができます。良く吟味された選択だと思いました。
なかでも、第3番目の論文「普遍的価値としての民主主義」と、第4番目の論文「なぜ人間の安全保障なのか」とは、非常に面白いものでした。セン教授は、しばしば「西洋思想の押し付け」あるいは「西洋化」ととらえられ、それ故にアジア世界から反発を変われることもある「民主主義」や「人権」について、アジアにおける例を多数引用しながら、それらが普遍的な価値を持つことを述べています。
経済や政治、およびその哲学に対して全く無知である私でも理解できるような明快な語り口を持ち、また、今現在、世界で起こっている諸問題を考えるための契機を与えてくれる、良書です。
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