アレックスを理解したかった……。

とてもよく出来た良質のミステリーです。構成が素晴らしく、張られた伏線が後になってちゃんときれいに回収されます。 ただ、物語というより、アレックスという女に対して釈然としない思いが残ります。読み手は、作者のリードによって、彼女に様々に感情を抱きます。時に、それはブレ、反転し、ひっくり返り、最後は、一つのところに落ち着くのですが……。でも、どうしても理解したとは言いがたい。何故なら、彼女の取った選択の過程が明らかにされていないから。美人で、聡明で、タフ。オシャレが好きで、食べることが好き。そんな人生を楽しむことを知っている女性がそこに至ったのは、何がきっかけだったのか……。作者は、読み手の想像に丸投げしてしまっています。しかし、答えが欲しかったと思います。彼女を理解する、いや理解した気になって、物語を終えたかった……。 また、彼女が順番を間違えていたことが気になりました。時間は十分あったはずなのに、どうして用意周到で、完璧な彼女があの順番にしたのか。そのミスが、冒頭の事件につながっていくと考えると、作者の都合でアレックスという女が、理解出来ない女になってしまったのが残念です。