小さく打って小さく響かせるだけでもよい

昨年から色々な新聞や雑誌に書評が掲載されていて、子供たちが生き物に興味を持つきっかけになりそうな本らしいと思い、三部作のうち先ずは第一弾を手にとりました。生き物についてのちょっと意外な雑学集として楽しく読めます。人間には到底できない様々な能力を持つ生き物にも、実はその習性にユーモラスな裏やオチがあるようです。詳述は控えますが、キツツキ、ムササビ、イルカのエピソードが少し愉快でした。執筆者たちはそれを「ざんねん」と呼び、興味を喚起しているのがおもしろいと思います。怖そうな生き物たちにそれほど畏怖をもたなくてもいいんだと安心させてくれる訳ですが、大切なのは各論に入る前の第一章のさり気ない記述、偶然登場した変異種が環境に適合した場合に、その種が生き延びることができる、それが「進化」だという適者生存のエッセンスです。これをかなり易しい言い方で表現していますが、小学生には高度でしょう。中学校の理科で進化の入門を学ぶ際にこの本の幾つかの項目を引き寄せて考えられれば著者たちの意図は達成されたでしょうし、そこまでいかずに本を閉じて程なく忘れてしまっても、それが多くの「事典」の使われ方ですから、それはそれで構わないでしょう。生き物の種類ごとに作られた巻末の「さくいん」が親切で便利です。