日本が知らない、国際的な常識としての防衛
「永久中立国」を謳うスイス。陸続きで強国に囲まれたこの国が、主権と平和を守るためにどれだけ苦労してきたか、現在も続くその努力と覚悟を感じさせる本です。そして、日本が先輩に教えを乞うべき本でもあると思います。
本書は、スイスの政府が国民に配布しているものの日本語訳だそうです。平和を維持することの難しさを説き、災害や他国からのあらゆる攻撃に対処する方法を解説し、実行する覚悟と実力を求めています。綺麗事では済まないが故の、現実的な防衛。しかも、簡潔でとても分かりやすい。あらゆる危機に予め備えておかなければ、いざという時に十分な対処はできないと、もっともな考えによるものだそうです。最近、「想定外」がよく言い訳に使われる日本人にとっては、耳の痛い話です。
また、その想定される危機がすこい。通常の軍事的な攻撃だけでなく、核兵器、経済や情報面での侵略や圧力、爆発物や毒物によるテロ、スパイや裏切り、政府の信用を失墜させる工作など、考えうる多くの攻撃について、国民一人一人がどう備え、対処すべきかを解説しています。なんと占領下での抵抗運動にまで言及していて興味深いです。
かたや、どんどん力を付ける反日国家に囲まれ、アメリカの後ろ盾が無くなれば存亡の危機に立たされるかもしれない立場にある日本。どこか他人事で人任せで責任を負わずに当然のごとく平和主義を口にする日本を世界がどう見ているのか。本書を読むと恥ずかしくなってきます。とりあえず、スイス人の前では絶対偉そうなことは言えませんね。
純粋な軍事力ではなく、そうした覚悟のような面から、他国に付け入る隙を与えている面もあるでしょう。かつて終戦後にマッカーサーが「日本は国際社会に出て間が無く、ちょっと道を踏み外してしまったまだ12歳の少年だが、まだ教育可能で、覚えが早く優等生だ」といった趣旨の発言をしたことは有名ですが、経済的には成長しましたが、国際社会の一員としては十分に認められてない気がします。
こうした本は是非、学校や図書館に置いて欲しいところです。全ての国は自国の利益を優先する弱肉強食の世界。その中で生きる知恵と覚悟のようなものを子供の頃から教えることは無駄にならないはずです。それに、多くの日本人がこうした知識を身に付けるだけで、他国から一目置かれる日本へと変わっていけるのではないでしょうか。
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