心は強くならないまま大人になった人へ

3年ぶりのBUMPの新アルバムです。『ユグドラシル』から『orbital period』までは3年4ヶ月空いたので、それに比べれば若干、スパンが短いですね。次のアルバムは2014年あたりかな(笑) アルバムを出すたびに詞の世界が内向きから外向きに変わってきていると感じました。今作では全編を通して「君」が強く浮き上がってきます。それは聞き手かもしれないし、藤原くんが特定の「君」を意識していると思える部分もあります。『FLAME VEIN』から『ユグドラシル』までは暴風雨の夜、部屋に一人きりという感じでした。『THE LIVING DEAD』の『ランプ』や『ユグドラシル』の『太陽』が象徴的ですが。前作は夜は夜でも曇り空の夜。前作の1曲目と最後の曲である『Voyager』→『flyby』への変化がさらに進んでいます。今回は星空の下の夜といった雰囲気。曲もアップテンポな曲は少なめです(皆無ではない) 主観的な苦悩を通り越した結果、自分自身を客観視しているような詞が多い。それは既発のシングルからもにじみ出ています。またリスナーを突き放した感じも受けました。前作の『才悩人応援歌』や先行シングル『モーターサイクル』の「あぁ君には言ってない そう無視してくれていい 相槌さえ望まない そもそも大した事言ってない」というくだりもそんな感じ。BUMPは変わったという人がいますが、変わって当然です。同世代の人間としても、20歳に感じた世界と30歳で感じた世界は異なる。誰だってそう。『魔法の料理』のC/Wの『キャラバン』は初期作と違和感がありませんし、鬱屈した曲や詞が書けないわけではないでしょう。ただ、それを吐き出さなくても良くなったのだろうと思います。 正直言って新譜が出るたびに不満が増える方にはもはやオススメできない内容。今回のアルバムに収録の『R.I.P.』『宇宙飛行士への手紙』が気に入っている方ならオススメです。それと、BUMPといえば詞が注目されがちですし、俺自身もそうなのですが、確実にBUMPの曲の幅は広がっていますし、演奏も初期とは比較にならんほど向上しているのは確かです。聴きやすくなったように感じます。2,3回通しで聴いたところでは『ウェザーリポート』『透明飛行船』『Angel fall』がお気に入りです。特に明記されていませんが『R,I,P.』『魔法の料理』はアルバムヴァージョンです。他のシングルも新録かもしれません。