本書でも触れられていますが、タイトルが”ゴールデンカムイからみるアイヌ文化”ではなく”アイヌ文化で読み解くゴールデンカムイ”なのがポイントです。 ゴールデンカムイの物語が始まる前のアイヌをとりまく時代背景や、当時の小樽の様子(野田先生が小樽を始まりの地に選んだことの妥当性がわかる)は興味深く、ゴールデンカムイが決して空想の物語ではなく、起こりうる環境があった(超人的な杉本、実は生きていた土方など人物の設定はさておき)ことがわかります。 一方、物語の中でアイヌ文化の象徴として幾度となく登場する「ヒンナ」「チタタプ」は、監修者である著者によると本来の意味や使われ方などと少し違っているようで意外でした(マンガでの使われ方に馴染んでいたもので、はじめは失礼ながら専門家である著者の見解を疑ってしまうほどでした…) この本を読むことでアイヌ文化により親しみを覚えることはもちろん、改めてゴールデンカムイの計算されたストーリーの面白さを感じ、野田先生の入念な調査と考察に頭が下がります。流行からなんとなく読んでいる人ではなく、本気でハマってしまった人にこそオススメの1冊です。