対人支援の要であるケアを、「患者・当事者・対人援助職の経験における内側の-エビデンスベースの医学的知見からはこぼれ落ちる-視点」から描き出そうとする現象学的考察。支援者や看護者へのインタビューや文献などから抽出されたエピソードに基づいて、ケアの本質やその諸相が概念化されていくので、とても興味深く読める。また、その考察の射程は存外広く、返す刃で自我論や身体論、あるいは自立といった近代的概念の再検討という課題にもそれとなく切り込んでいく。現象学的考察の魅力と切れ味をまざまざと示してくれる良書。