ギリシア、ローマの古典的叡智の宝庫
モンテーニュの「エセー」が現代日本人の心を打つのは、ルネサンス期西欧知識人の独白というよりも、その内容がギリシア、ローマの古典的な叡智の集大成であり高い普遍性を備えているからだと思います。
モンテーニュは、幼少期からラテン語を徹底的に教育され、古典に通暁していました。そして人類の本当の叡智は(キリスト教を尊重しつつも)古典の中にあることを確信しており、常に古典を鏡として自己を探求しています。彼が引用する古典の幅広さと目配りの良さはルネサンス期であることを考えると驚くべきものであり、同時にその教養に基づく考え方や判断は極めて現代的です。(たとえばブラジルの未開人に対する態度などはレヴィ=ストロースも称賛しているほどです。)
パスカルがモンテーニュを常に敵視し揶揄したのも古典に関する教養ではモンテーニュに敵わないという劣等感や嫉妬心からだと思います。パスカルは、モンテーニュと比較してしまうと、人文学の分野においては「小利口」の域をでません。
したがって、西洋の本当の底力を知りたい方にとって、このモンテーニュの「エセー」は魅力的な書物だと思います。宮下氏の翻訳は読みやすく注も親切であり、おすすめです。
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