もう元には戻れないんだなと納得する

おそらく彼にはこれから起きることが見えているのだろう。これまでに至る経緯や流れを主に数字で追っていく部分は、この本が出版された当時から時間が経つにつれ、鮮度が失われてやや冗長な感じがしてしまう。しかし、アタリ氏は人間社会の根源的な奥深い部分を見つめて、その本質をしっかりと捕まえていると思う。そのため、氏の危惧する今後悪い方向のシナリオなどは説得力があり、背筋がぞっとする。実際に予言が的中したような部分もすでに大小いくつかある。もともとパンデミックの到来を20年以上前から危機として認識し、訴え続けていた人物だけある。そして、この世界的な大混乱から人類を救うための具体的な政策ないし方法論を、政治的にも個人レベルにも即した内容まで掘り下げて具体的に説く。その内容が実現できるかどうかは、まさに人類ひとりひとりの認識と対応いかんにかかるだろうが、それは個々人がこの本を読んで考えることであり、誰にも未来はわからない。現時点で人類がとれる対処方法についての提言であり、このまま何も変化をせず無為に時間が経てばどうなるかの警鐘でもある。細かい部分で同意できかねるところも多少はあるが、全体として語られる内容は、知者の見識であると思う。この経験豊富な先哲の言葉をわれわれは拝聴すべきだと思う。