育児に悩む全ての親御さんにおすすめします

信頼するお友達に勧められて、発達障害グレーゾーンの子供を持つ親として興味深く読みました。 本書はいわゆる発達障害の子に対してこういった対応をしたという具体的な方法が書かれたものではありません。 ある日突然、「あなたの子供にはADHDの疑いがある」と告げられ、右も左も分からない真っ暗な荒野に放り出されてしまった母親が、我が子のために、その荒れた土地を必死の思いで開拓して、光のある心地の良い場所に整えていった過程と、母が用意してくれたその環境で伸び伸びと遊び回った息子さんが、いつしか自ら新しい道を歩き始め、今度は自分で居心地の良い場所を切り開いていったまでを書いた本です。 たどり着いたその場所というのが東大の大学院で、もちろんそれも素晴らしいことなのですが、著者の菊地さんがきっと何よりも喜んでいるのは、幼少期には将来を悲観するばかりだった大夢くんが、大きくなった今は大好きな分野で生き生きと生活している姿なのだろうと感じました。 前半は、どのエピソードも悩みの渦中にいる自分には共感する部分が多く、涙なしには読めませんでした。 ただ、決して暗いばかりではないのが、この方のすごいところ。 離婚後、幼い子供たちを抱えながら美容師の資格を取得して働き、更に自分のお店を開店させ、その傍ら大夢くんの学校に何度も足を運び先生との話し合いを重ねたり、初めての事が苦手な大夢くんの為にイベント毎に予行演習をしたり…。ユーモアを交えて明るくサラリと書いていますが、そのバイタリティには頭の下がる思いです。 小学校中学年、大夢くんの特性をなかなか理解してくれない先生の気持ちを最終的に動かしたのも、多忙な生活の中でも自分が関われる事は自分でやり、それが難しい部分だけを学校に要望や提案するという真摯な姿勢を貫いたからこそではないでしょうか。 後半の次男さんについて書かれたドキッとするような暴言のエピソードには、兄弟2人はそれで精神的に少しはタフになったんじゃないかとあっけらかんと語る著者にも、言われた側の子供たちのその時の返答にも大笑いしました。 子供の特性が目立ってきてからというもの、沢山の本を読み漁り、親としてこうあらねば、こうしなければとカチカチになっていた頭と心を、この本は優しく癒してくれました。