谷原との準決勝の続き。辛くもコールド負けを免れた直後の、9回表墨谷の攻撃から。すでにボロボロの墨谷が驚異的な粘りを見せ、ついに同点にまで追いついたところで場面は一転、決勝戦の試合開始前に飛ぶ。谷原の監督に一人語りをさせ、決勝戦での谷原の総崩れ具合を一瞥させることにより、同点後の試合がまさしく死闘であったことを、その様子を縷々描写することなく読者に印象付けている。やはりコージィ氏は、野球よりも谷口に照明を当てたいのだろう。谷原との死闘ですべてを出し尽くし、晴れやかな気持ちで新たな人生を歩み始めようとする谷口のその後に、本巻の紙面の多くが割かれている。単なる偶然の可能性も高いと思うが、部長先生の谷口へのセリフ、「オマエに今しかできない何かを追い求めてほしいんだよ」(p.190)は、『キャプテン』アニメ版の主題歌冒頭の歌詞を彷彿とさせるものがある。それより何より、最終ページ「完」の真下の一文は、うれしくもある反面、どうしても谷口を書き続けたいという往生際の悪さも感じられて、いくぶん複雑な気持ちになる。