イノベーション人材(冒険人材)の育て方

企業が求める、イノベーション人材(冒険人材)の育て方のメカニズムを明らかにした名著。 自身も企業の人事部に属していた法政大学大学院の石山恒貴教授と、民間企業のエンゲージメント調査を行うビジネスリサーチラボ代表の伊達洋駆さんの共著。この手の本にありがちな、アカデミック過ぎる感じはなく、丁寧な調査や裏付けをアカデミックらしく、具体例や具体的な効果、そこから導き出される会社(人事部含む)への提言などは、現場に即した実践的な側面が出ているため、とても読みやすく、納得感が高い1冊であった。 特に「越境学習」については近年話題のキーワードの1つではあるが、「越境」とは実際にはどんなことをやるのか、どんな効果があるのか、なぜ効果があるのか、メリットだけなのか、会社はどんな手当をすればよいのか、など明文化・言語化されていないことが多く、なんとなく良いことがありそうというイメージでいたが、実際に行っていた人の振り返り、リフレクションなどの情報を得ることで、苦悩や葛藤、目に映る世界の変容など、生の情報が盛りだくさんであり、目からうろこであった。 著者は、越境学習者は特別な人ではなく、誰にでもその門は開いているという。私は、この本は自身が一歩を踏み出したいと考えている人はもちろん、周囲に変革者を求めている人(人事部や部署の上司・先輩社員)、周囲に一歩踏み出している人がいてサポートしたい人(同僚・後輩社員)にも読んでほしいと思う。ボランティアやプロボノ活動、社内ダブルワーク、副業解禁など、企業側も社内外の知見を広く社員が取り込めるように、様々なことを推奨していますが、その活動の先には、成長した社員がおり(物事を俯瞰してみる力がつくため)今までの当たり前を当たり前に思うことができなくなります。ここに、成長、変化があるのですが、それをポジティブに受け止める(=理解する)組織や仲間がいることが重要だからです。 イノベーションを求める企業が、会議室でどんなに話し合ってもイノベーションが起きないのはなぜか。イノベーションをもたらす人材とはどのような人なのか。この本には、そんな疑問のヒントが溢れています。「不確実なこと=冒険」に出た越境学習者が、VUCAの時代に生き抜く糧を得るまでの物語をレビューを見てくれた方にも読んでいただきたい、おすすめの1冊です。