百年前、旧く分厚い殻を突き破り光を見たばかりの日本において、新しいものへ体当たりで挑んだ青年たちの生々しい姿を描いた作品です。当時「恋愛」や「自由」は、生まれてきた意味を探るための重要なキーワードであると同時に、時として、死をも招きかねない危険な罠でした。「春」に息づく青年たちは、恐ろしいほど清らかな魂の中で、絶対的な真理と愛、凶暴な懊悩とさまざまな欲を戦わせながら、ここより始まる人生という一年をじっと見つめています。痛みにすら鈍麻した現代、もう一度この自由な命を尊ぶこと、心なくして恋愛はありえないこと、を思い返すための、一服のほろ苦い清涼剤として、この本をお読みになることをお勧めします。