最終巻によせて

格闘ゲームや当時のゲーム界隈の空気などわからないことも多く 作品の面白さを十分に味わうことは出来ませんでしたが ゲームを媒介としたボーイミーツガールという位置付けで読んでいました。 主人公の矢口春雄(ハルオ)とヒロインである大野晶の間には ゲームで結ばれた強固な繋がりがあるのと同時に 大野側の問題として簡単には越えられない障害もありました。 これにより、ゲームシナリオの定番でもある 囚われの身となったヒロインを主人公が救い出す、という展開も 加味されたように思います。 そして、恋愛面での人間関係もゲームを絡めて描かれました。 恋愛関係になるかならないかという二人の間に 揺さ振りをかける人物が配置されることはよくあります。 ハイスコアガールでは日高小春がそれを担いましたが 彼女の登場によって酷く心を揺さ振られたのは 主人公のハルオではなくヒロインである大野でした。 ダブルヒロインの様相を持ちながらも ハルオ、大野、日高の関係は三角関係と言うよりは三すくみです。 ハルオは大野に負け、日高に勝つ。 大野は日高に負け、ハルオに勝つ。 日高はハルオに負け、大野に勝つ。 このような三すくみ状態はゲームで設定されていることがよくあるので 意識して配置されたようにも見えます。 ハルオから見た日高の存在と大野の存在には明らかな差があり この明確な差によって日高はもう一人のヒロインとして輝いたと思います。 最終話でハルオと大野の関係は一つの大きな変化を迎えました。 しかしながら、ラスボスを倒すのはこれから先のお話です。 大野家指南役、萌美先生は厳しくも強力な味方になってくれると思いますし 大野姉、真の妹に対する罪悪感の解消も必要です。 そして何より、家の方針に従うだけではない自らの強い意志を持った大野晶が 見られるのではないかとも考えます。 ハルオは受け入れられる人間のストライクゾーンが広いです。 この長所はラスボスであろう大野家に立ち向かうには 最高の能力じゃないでしょうか。 その姿が描かれずに終わってしまうことは大変残念ですが ここから主人公は一人ではなく、パーティーを組んで クエストに臨むのだと思えば想像の翼も楽しく広げることができます。 二人にとって最良のエンディングが迎えられることを祈りたいです。