安全保障の常識を覆す挑発的な議論!

国内政治、国際政治双方の既存の定説や常識を翻す刺激的な議論で、近年の日本人研究者には稀な骨太の世界観を感じる好著。軍ではなく、シビリアン(大統領、議会、国民等)がしばしば好戦的であったことの実証は、日本をはじめとする各国が無批判に受け入れてきたシビリアンコントロール一辺倒の政軍関係の限界を示すもの。冷戦時代の東西対立の“たが”が外れ、イラク戦争をはじめとする中小規模の戦争が頻発する中で、戦争を防ぐにはどうすべきかという国際政治学の究極の問いに対して筆者が示す「共和国」像は、新しい形の負担の共有を提示する。戦争の負担が偏った階層によって担われ、現代のハイテク戦のもつ、ある種のお手軽さを批判したもので、筆者の持つリアリストと理想主義者の面白いミックスが感じられた。経済と安全保障の関係に新たな光をあてる、重要な論考。