前半では国語教育について『羅生門』等を題材にとり国語教育の現場でのは梨を展開している。 例えば国語の問題で誰しもがやったような気になっている「作者の考えを述べよ」という問題は 実際に出された事というのはなく、本文から抜き出せる文章からの問題しか実際には無いという。 『羅生門』はその点について作者の考え方がこれでもかというほど明確に表されているので 2003年以降の全出版社の出している国語の教科書で採択率が100%だという。 国語の問題で過去の名作を発表された当時の感覚で読むことの意義や、いやそうではなく 過去についた価値観や歴史的評価を拭い捨て、現代的な読み方をすることの意義などについても語られる。 教育の現場で、国語教育がつまらなく感じる生徒の上げる理由が、この先生がぶち上げる 固定した価値観での読み方を(テストで点を取るためのテクニックとして)強要されることや 昔の作品は今でいうとなんとなく肌に合わないとそういう声を上げる生徒が多いそうだ。 また本の後半では、論理的文章の書き方について語られており、例えば論文を書く上にあたっては 論拠となる一次資料をどれだけあたれるかが重要であり、ネットやテレビでの言説が いかに人の意見に流された物かが浮き彫りにされる。 事実を語るということはどうしても主観の入り込む物語行為にならざるを得ず バイアスのかからない情報や言説というのは人間には中々難しいようだ。 本書は平易な文章で例をたくさんあげておりとても読みやすい。 中高生で文章を読むのが好きだけれど国語の授業がつまらないという子供にちょうどいいと思う。 当然ネットのリテラシーが重要視される大人も心の中に置いておくといい一冊だと思う。