『巨匠』は、ちゃんとココに居る!

井筒監督作品を見るのは四半世紀ぶり。紳助&竜介主演の『ガキ帝国』以来。1960年代後半の京都を舞台に繰り広げられる、日本人の少年と、在日朝鮮人少年たちとの青春ドラマである。ネタばれの可能性があるのでストーリーについては詳しく表現する事を避けるが、劇中に流れる、フォーク・クルセダースの曲達も時代表現に一役買っているばかりか、ストーリーに色濃く反映されているのは素敵である。 若い出演者を積極的に起用した、躍動感溢れる映像は見事だし、脇を固めるベテラン俳優たちの面子も申し分ない。また、井筒流のリアリティは暴力的なシーンだけでなく、沢尻エリカが演じる劇中のヒロイン、キョンジャの親戚として、ある意味本物の在日でヤンキー上がりでもある長原成樹を起用するなど、随所に“さり気無く”井筒流リアリティが表現されているのも見逃せない。願わくば、ラジオ局のディレクター役の大友康平も良かったが、この役を京都出身でこの時代にラジオ等の公開放送に素人として出ていた島田紳助が演じていたら、更に良かったのでは?なんて思ってしまいます。 時には激しく、時には楽しく、そしてここ一番では泣かせる青春ドラマの傑作である。 最後に、オダギリジョーの変貌ぶりは笑えるし、ケンドーコバヤシの姿を見ていたら、『ガキ帝国』に出演していた若き日の北野誠の姿を思い出した。撮影した頃は純粋無垢な感じの沢尻エリカの演技も初々しくて良かったし、そして、関西の頼りない商店主の役をさせたら天下一品の笑福亭松之助師匠の元気な姿を見られたのが個人的には嬉しかった。 ※笑福亭松之助師匠→明石家さんまの師匠である。