最期は病院?施設?自宅?

著者は、大学病院の救命救急医として合計10年、外科医として合計10年勤務した後、故郷に戻って父親の病院を継いで、地域医療を担い、 病院だけでなく、在宅医療グループや、特養、老健などの高齢者施設を率いている。 本のタイトルを見ると、何かの暴露本かと思ったが、帯の『在宅医療は自宅で看取るための医療ではない』 というフレーズに惹かれて購入してみた。 在宅医療=終末期=看取り、ではなく、どういう時に在宅医療を検討するのか、お金はどのくらいかかるのか、まずどこに相談すればいいのか、在宅ではどんなことをしてもらえるのか、などがわかりやすく書いてある。 いやあー、自宅じゃとてもじゃないけど病人は見れないな。。と思う人にも具体例をあげて解決策が書いてある。 次は施設だ。 子供に迷惑かけたくないから、という理由で老人ホームに入ろうと思っている人も多いだろう。 しかし巷には、様々な介護施設高齢者施設がある。 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設老健、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能ホーム… 素人には何がなんだか分からない。 これに関しても具体的な例や、医師や看護師が常駐しているかなど、丁寧に載っているので、選ぶ参考になる。あとから見直せるように整理されているので便利。 親の面倒を見ると決めている人、親の面倒を見たいが、仕事を辞めるのは困る人、将来一人になったら、認知症になったら、どうなっちゃうんだろう… と心配な人、、すべての人に参考になる。 重度訪問介護制度の章は、他の在宅本では触れられていない部分で、興味深い。 障害者運動が勝ち取ったこの制度は、紛れもなく、日本が世界に誇れる制度だろう。 後半はぐっと濃密な内容になる。 延命治療なのか救命治療なのか… については、世間でも議論の分かれるところだ。 90代の2つの実例、末期がんで、手の施しようのない症例を筆者が手術で助けた例は、そういう人たちを切り捨てていいのか、考えさせられた。 在宅医と病院医(救急医) の構造的な確執にも切りこんでいる。 患者の立場から見ると、そんなことどうでもいいから良質な医療を提供してくれ。と言いたくなるが、著者はそれに対しても2017年から研究会(後に在宅救急医学会) を立ち上げ、在宅医と病院医を同じテーブルについてもらって、その溝を埋めるべく奔走している。