翻訳のすばらしさ

感情に関する心理学的解説本だが、 学術的な入門書としても、ややまじめな一般書としても読める一冊。 原著者が感情の進化心理学的立場ということもあり、 感情の機能・役割なんかも知れて、面白いと思われる。 また、訳者の解説もまた興味深く、感情の奥深さに思いは広がる。 それにしてもすごいのは、翻訳の素晴らしさ。 訳書ということを忘れてしまうほどの、素晴らしい日本文。 確かに翻訳家が訳した読みやすい訳書も少なくないのだが、 専門家ではないので、専門用語の訳が違ったりするのが残念なところ。 当然ながら、本書はそういうことがない。 日本語にただ置き換えただけのようなぎこちなさもない。 ただきれいな日本語の文章があるだけである。 訳者の書くものは重厚なレビューでがっぷり四つの気配なのだが 本書のように優しくしみこむ翻訳もできるとは、 その才をうらやむことこの上なし、である。