大企業のマネージャー以上・大企業相手に仕事をする人にオススメ。
さすが長年、大企業相手にもベンチャー相手にも仕事をしてきた著者ならではの一冊。
確かに今までのweb2.0系の本のほとんどはベンチャー関係者/既にネットにどっぷり浸かった人達が中心であり、ネットに懐疑的、もしくは不安を持つ大企業向けではなかった。
私自身も先日久しぶりに大企業の経営層と話をしたが、まさに本書の中にあるとおり、数千億の売上がある大企業にとって、ネットは広告市場も物販市場もまだまだ数%のシェアでしかなく、収益に直接貢献しない、という議論が中にあった。また、担当者本人はネットに関心は高いのに、会社(大企業)の方針で予算も少なく、片手間でしかサイト運営をできなかったためあまり上手くいかなかった例も本書で指摘のとおり数多く見てきた。
このような大企業特有の問題に対し、豊富な事例とわかりやすいいくつかのコンセプトを絡めて解決策の提案をしている良書。
特にコンセプトは著者自身のものに限らず、他人の秀逸なものをいろいろセレクトして掲載してある点が、読者にとって、特にネット初心者にとって親切なつくりになっている。
1人でも多くの大企業経営者に読んでいただきたい一冊。
なお本書が推薦する「実験物理学的アプローチ」「アクティブ・ウェイティング戦略」は、恐らく欧米で時々使われる「リアル・オプション」と同じ考え方だと思うが、大学で理系だった自分としては非常にわかりやすい表現だった。日本の経営者は金融(特に証券)は比較的得意でない方が多いため、オプションと聞いてすぐピンとくる欧米人向けの「リアルオプション」という表現よりも「実験物理学」といった方がわかりやすいのかもしれない。
惜しむらくは、本書の構成が、後半部分に事例が豊富に載っているため、事例好きな日本人にはこちらばかりが頭に残り、前半の考え方やコンセプトが頭に残らない可能性があることが少々残念。
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