「人が先、仕事は後」へ

本書は「タレントマネージメント」という概念について、歴史、社会的な背景、実際の進め方、成果、それによりもたらされる行きつくべき組織の在り方について論じてある本である。 「タレント」とは従業員個々人が持っている知識や実績、経験、さらに、将来に持ちうる能力のことを指しており、それを如何に企業(特に経営、人事の立場にいる人物)が実際の「成果」に結びつけるかということが3Mのポストイット開発など事例を豊富に語られている。 本書の言葉にあるように「仕事が先、人は後」という考えから「人が先、仕事は後」という新しいパラダイムにシフトしなくては一人一人の可能性を出し切ることは不可能であり、「個」を設備を動かす部品から会社を変える主体にできるかどうかが企業の活力の源であろう。そうすれば働いている従業員サイドとしても楽しく働くことができWIN-WINの関係を築け、会社側、従業員側ともに幸せな状態を作ることができると思われる。 おそらくこういった症状が社内にある場合に解決の糸口になるのではないだろうか。 【把握の問題】 ・社員数が多く、個人個人を把握できない ・縦割りの組織であり、他の部署が誰で何を知っているか分からない 【離職の問題】 ・退職率が高い ・悪い意味の年功序列がある ・リストラで能力が高い人から退職していく 【社内不活性の問題】 ・従業員が考えず、言われたことしかやらない ・グローバル化に対応したいが従業員がついてきていない気がする ・契約社員や委託先の能力を活かしきれていない ・中長期の戦略は立てたが、実行を任す人材が不足している 良い本は読みながら、自分ならどうするか、あの会社ならどうするかなど読み手の想像力を刺激し、しばしばページを捲る手を止めさせ、内省を促すがこの本はまさにそのような本である。 終盤にある「組織と個人の対等な関係」が実施されると現行の副業の考え方や転職・出向など様々な現行の制度に影響を及ぼしそうだなと感じた。 大企業病を感じた人なら共感する点が特に多いのではないだろうか。 是非日本に広まって欲しい一冊である。