現在の島根県津和野町出身の思想家、西周(にし・あまね:1829- 1897年)。幕末から明治にかけて活躍し「哲学」という訳語を生み出したことで知られていますが、そんな西周とはいったいどんな人物だったのでしょうか。しかし、この問いに一言で答えるのはなかなか困難です。というのも、西周は、ある時は幕府の重役にして日本初の憲法案の提出者であり、またある時は日本における哲学の父、あるいは明治政府の官僚にして悪名高い「軍人勅諭」の起草者であり、さらには教育者や政治家の顔までもった百面相的な人物であったからです。
本書は、翻訳論・日本語論・軍事論の三つをテーマに選び、多岐にわたる西周の思想や実践をコンパクトに紹介した入門書です。西周を「名前は知っているあの人」から、現実と格闘しつつ言葉に寄り添い思索し続けた者として、あるいは激動の時代を生き抜いた悩める先駆者として新たに甦らせる一冊となっています。
はじめに
凡例
第1章 西周と「哲学」の舞台裏
1 西周と津和野/2 百面相としての西周/3 翻訳者として/4 「哲学」への道のり/5 訳に三等あり/6「哲学」の誕生/7 「哲学」の真意とその後/8 翻訳者か、哲学者か/9 言語観の矛盾!?
第2章 新しい「日本語」を求めて
1 日本語論者としての顔/2 国語・国字論争/3 音への着目/4 「日本語」の模索/5 もう一つの分裂!?
第3章 秩序の生成へ
1 官僚か、思想家か/2 学者職分論争/3 職務への不満と役割分担/4 消された草案/5 軍人のエートス/6 秩序の生成へ/7 西周に責任はあるか
おわりに
参考文献
もっと西周を知りたい人のためのブックガイド
西周略年譜


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