「キューバ・ミサイル危機は、将来的に大きな影響を及ぼす事件であった。米ソが核戦争の瀬戸際で踏みとどまった1962年10月の13日間に匹敵するほどの出来事は、これまでに歴史には見当たらない。多くの人命が突然失われる可能性がこれほど高かったことはかつてなかったことだ。実際に戦端が開かれていたら、1億人のアメリカ人、1億人以上のロシア人、そして数百万人のヨーロッパ人も死に、過去に起きた自然災害や残虐な事件などは遠くに霞んでみえたことだろう。」(本書序章から)
1971年に刊行されたグレアム・アリソン著『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析』は、政治学の古典、ベストセラーとして長く読み継がれてきた。3つの分析モデルーー合理的アクター、組織行動、政府内政治ーーを駆使し、謎に包まれていた米ソ首脳の事件勃発から危機回避までの政治的意思決定論の傑作だった。
その後、情報公開が進み、秘密指定解除などによって米ソの中枢内部での新たな事実関係が解明された。本書はアリソンと歴史研究者でケネディ政権内部の議論を秘密録音したテープを調査したフィリップ・ゼリコウが協力して、初版をほぼ全面的に改訂して1999年に刊行された。第2巻収録の解説は、渡邉昭夫東京大学・青山学院大学名誉教授。
はじめに
序章
第1章 第一モデル:合理的アクター
厳密な行動モデル
合理的アクターのパラダイム
古典モデルの解説
古典的現実主義
新現実主義(構造主義的現実主義)
国際制度学派
自由主義
戦略・戦争・合理的選択
古典モデルの変種と適用
第2章 キューバ・ミサイル危機ーー第一モデルによる分析
ソ連がキューバに攻撃用ミサイル配備を決定した理由
仮説1--キューバの防衛
仮説2--冷戦の政治
仮説3--ミサイル力
仮説4--ベルリンーー勝利、駆け引き、罠
アメリカが海上封鎖でミサイル配備に対応した理由
選択肢1--何もしない
選択肢2--外交的解決
選択肢3--カストロへの極秘提案
選択肢4--キューバ侵攻
選択肢5--空爆
選択肢6--海上封鎖
ソ連がミサイルを撤去した理由
第3章 第二モデルーー組織行動
組織論理と効率
組織論理と組織文化
相互作用的複雑性
アメリカ航空宇宙局(NASA)--英雄と犠牲
組織行動のパラダイム
索引


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