全人類が知らなければいけない事
ユダヤ人に興味があり、ユダヤ教の成立からイスラエルの現在まで広く資料を探している中でこちらの本を見つけました。執筆時点が昨年末なので、ガザの被害者数も2万人と現在の半数だったり、データとしては古い内容もありますが、決して日本のマスコミで報道される事のない事実が具体的な数値や名称を伴って細かく記されていて、イスラエルという歪な国を理解するのに大変役立ちました。大勢の方が二段組でびっしり数ページずつレポートを寄稿しておられ、250ページもの立派な資料集になっています。執筆者が複数いるため内容が若干重複したり、やたら難しい言葉やアルファベットの略語、()書きを多用する方がいらっしゃったりして若干読み辛いですが、様々な角度からガザ侵攻の問題について検証されており、読み応え抜群です。世の中、知らなかったでは済まされない事が沢山あると思います。私は、イスラエルの高官が公の場でパレスチナ人を動物と呼んではばからない事を知りませんでしたし、自給率の極めて低い地域において、イスラエルがもう十数年も輸入食品の総カロリーを制限している事や、電力・燃料・水資源などをパレスチナ人から武力で一方的に奪った上で、高額な料金を吹っかけて「供給」している事も、今回の侵攻の際にそれらの供給を遮断して全ガザ住民をあからさまに兵糧攻めにした事も知りませんでした。ガザの人々が1日3リットル以下の水しか使えない生活に陥っている事、真水が貴重なこの地域では農業には元々汽水を使っており、真水が足りない現在は最終手段としてその農業用汽水を飲んでいる事。ハマス(抵抗運動組織)が正式な選挙で傀儡政権を下した時、欧米とイスラエルが選挙を一方的に反故にして傀儡政権にクーデターをそそのかした事、ハマスが「実効支配」しているとされるガザは、傀儡政権が民意を無視して起こしたクーデターに失敗してハマスから取り上げ損ねた地域である事。パレスチナ人は非暴力の抵抗運動を何度も起こしたがすべて暴力で弾圧されてきた事。ガザ地区は過去数年間に何度もイスラエルから一方的に攻撃されていて、その規模が徐々にエスカレートしている事…何も知らなかった。胸が痛くなり読むのが辛い話ですが、事実を知りたい方に是非ご一読頂きたい本です。人種や宗教や文化が違っても相手を理解しようとする人こそが真に強い人だと思いますし、これは対岸の火事ではない。全人類の課題です。
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