お腹の治療のパラダイムシフト!

多くの日本人は、善玉菌、あるいは善玉菌が増えることが健康につながると信じ、トクホ製品はもとより、日常生活に意識的にあるいは無意識的に乳酸菌や食物繊維の入った製品やたくさんの野菜を取り入れています。 摂取している方の中には、全くもって健康だが、念の為摂っているという方もいると思いますが、その多くは、何らかの症状や健康に対する不安から意識的に摂取していることとおもいます。 しかし、健康のために一生懸命摂っている食品が、実は動物実験や健常者のみの実験に依拠し効果効能がうたわれている場合、みなさんはどのように思うでしょうか? 何らかの症状を持っている場合、健常者基準のデータは信用できるのでしょうか?摂取するデメリットはないのでしょうか?デメリットどころか、有害事象は絶対にないのでしょうか? 本書籍は、このようなお腹の調子を整えるとうたわれ、トクホにも認められている乳酸菌や食物繊維、発酵性炭水化物について、様々な疾患の発症や悪化との因果関係があることを膨大なデータをもとに明らかにしています。また、国が大々的に推進していたピロリ菌除菌についてや仮説段階ではありますが自閉症スペクトラムとIBSとの関連性、昨今話題の乳酸菌と免疫の関係についても触れられています。 かなり専門的で、新書としては初学者には難解な面もありますが、過敏性腸症候群(IBS)などの腹部症状のある方やお腹に良いとされる健康食品を取り入れているものの治らない、症状の悪化に悩まされている方には価値のある情報となるはずです。 今まで、お腹の治療に対してプロバイオティクスや心理学的アプローチを薦めてきた医療者にとっても治療方針を見直すきっかけになるでしょう。 書籍の後半には、IBSの治療食である「低フォドマップ食」(登録商標)に関して、最新の情報と実施の仕方がコンパクトにまとめられていますので、この点も大いに参考になろうかと思います。