本書は孫基禎の波乱の人生を振り返り、さまざまな辛苦に耐え抜いてベルリン五輪のマラソンで金メダルを射止めた快挙と戦後のスポーツ界におよぼした多大な功績を顕彰するとともに、筆者からみた人間・孫基禎の魅力や素顔を紹介し、併せてオリンピック並びに現代のスポーツが抱える課題などについて考察したものです。
本文の執筆にあたっては末尾に載せた参考文献のほかに、1982年12月に孫さんと初めてお会いしたときのインタビューの音声や、別の機会に伺ったはなし、10数年に亘って交わした手紙やはがき類、さらには長男の孫正寅さんから折々に贈っていただいた多くの資料を参考にしています。
孫基禎のドラマチックな人生を辿ることは、過去・現在・未来の日韓関係のみならず、世界の国々をつなぐオリンピックやスポーツのあり方を考えるうえで多くの示唆を与えてくれるはずです。
特に若い世代の皆さんには、ベルリン大会のマラソンで朝鮮籍の孫基禎が日の丸をつけて走り、金メダルを獲得した快挙とその背景にあった史実を記憶にとどめ、後世に語り継いで欲しいと心から願っています。
はじめに
第1部 孫基禎の波乱に満ちたマラソン人生
1章 少年時代に培った走力と忍耐力
2章 「マラソン」との運命的な出会い
3章 養正高普時代の試練と飛躍
4章 日本代表を勝ちとるまでの茨道
5章 マラソンのエントリー確定までの関門
6章 ベルリン・オリンピック前後の動向
7章 ベルリン大会の開幕と日本選手の活躍
8章 孫基禎が味わった歓喜と悲哀
9章 優勝後の孫基禎と日章旗抹消事件の波紋
10章 その後も続いた激動の歳月
11章 韓国スポーツ界を牽引した孫基禎の情熱と手腕
12章 ヘルシンキ大会からソウル・オリンピック決定まで
13章 走り続けた孫基禎の輝かしい晩年
第2部 回想の孫基禎
1章 孫さんとお会いするまでの経緯
2章 孫さんへのインタビューとその印象
3章 冊子刊行後の孫さんとの親交
4章 ソウル・オリンピック前後の孫さんとの思い出
5章 晩年の孫さんの面影と安らかな終焉
第3部 孫基禎の遺産と現代オリンピックへの提言
1章 孫基禎さんの恨がもたらしたもの
2章 夢を叶えた幸せなランナー
3章 古代オリンピックから学ぶこと
4章 近・現代オリンピックの功罪と未来への期待
5章 オリンピックは世界共通の宝
あとがき
注
引用・参考文献など
オリンピズムの根本原則(オリンピック憲章2020版より)


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