講談社学術文庫シリーズは「学術をポケットへ」のコンセプトで発刊されたもので、文庫本サイズでアカデミックな本が読める、すこぶる簡便にしてありがたいシリーズである。その中の一冊、『出雲神話の誕生』は、天皇集権国家の成立期に、権威の確立のために、出雲という地域がどのように利用されていったかを克明に追ったものである。筆者の鳥越憲三郎氏は、「当然知っている出雲神話」が、果たして正しいのかどうかを私たちに問いかける。そして、その答えを受け入れられるか否かもまた、問われることになる『出雲神話の誕生』である。