現代社会に必要な1冊
著者は言わずとしれた福澤諭吉。
現代語訳者は福澤諭吉研究で有名であった故・伊藤正雄甲南大学名誉教授である。
実は、本書の前身である「口訳評注 文明論之概略」を既に持っていた。古本屋でたまたまで手に入れ、読み解いていったが、知人に薦めように売っていないのだ・・・。どこの図書館にも置いているわけでもなく、「もっと多くの人に『文明論之概略』を読んでもらえたらいいのになぁ。」と思っていた。
その矢先に「現代語訳 文明論之概略」が刊行の運びとなったのである。
「文明論之概略」そのものに興味がある方は、慶應義塾大学出版会から出ている「福澤諭吉著作集」もしくは「コンパクト版で読む福澤諭吉」(この2冊は本の大きさが違うだけで、内容は同じである)が注釈も多く、読みやすいかもしれない。
しかし、岩波文庫版がより安易な価格で手に入れられるし、様々な本で引用されているのは、岩波文庫版のページ数だ。
なので、「現代語訳~」とともに岩波文庫版を手元に置いて読んで欲しい。
「古典がどうも苦手・・・」という方は「現代語訳~」のほうから読み進めていっても良いだろうし、岩波文庫版等で意味が取りづらい箇所があったら「現代語訳~」のほうで確認してみるといった使い方も可能であろう。
第1章「議論の本位を定る事」は国語の教科書に載せてもいいくらいだ。
解説や解題といった部分を読んでみるのも面白い。「文明論之概略」がどのようにしてできあがったか、時代背景とともに丁寧に記述してある。
福澤諭吉といえば、「学問のすすめ」や「福翁自伝」が圧倒的に有名だが、この「文明論之概略」は福澤諭吉の著書としてもっと世に普及して欲しい本だ。
少しでもたくさんの人に「文明論之概略」に触れてもらえれば、世の中が少しでも変わるかもしれない。
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