依存させるアニメへの高畑勲のアンチテーゼ

「もののけ姫を批判したいんです」 高畑勲監督の強烈なインタビューが収録されている製作ドキュメンタリーが特典映像として収録されています。子どもたちの為のアニメをつくろうという理想からホルスの大冒険、アルプスの少女ハイジを作りスタジオジブリを立ち上げた高畑勲と宮崎駿の両監督。そのタッグが最高傑作ナウシカ、ラピュタを生み出し、さらにとなりトトロと火垂るの墓同時上映という快挙をなしとげました。アニメブームとなりアニメ作品が大量に生み出されていくなかで、「これらの映像作品は現在、子供からも大人からも歓迎されているだけでなく」「これらの素晴らしい映像の世界が子供の『原風景』となりつつある。それはあらゆる分野にわたり激しい戦闘から自然との素晴らしい交流にまで及ぶ」ことの青少年への悪影響を指摘しています(岩波文庫「アニメーション、祈りにふれて」より) この作品が上映された1999年頃はもののけ姫とエヴァンゲリオンが大ヒットし、現実とアニメの区別がつかなくならないようにと高畑勲監督がつくりだしたのがこの作品です。宮崎駿監督はこの意図をいち早く察し 記者会見では高畑監督をフォローしつつも裏側では「僕はやりたいとは思わない」と愛あるがゆえに憎らしい気持ちを吐露しています。 そして完成したこの作品はジブリアニメを求める観客からはほとんど受け入れられませんでした。私自身も当時劇場でみてあまり良い印象は持ちませんでした、50代になり改めて見ると手書きの擦れ線まで生かした映像とオーケストラによる音楽との美しい調和、完璧な法則によって表現されたリズム感と間、背景に空白を多くすることによって視聴者の想像によって映像をイメージさせる読書と同じような心地よさを演出する仕掛けなど その圧倒的な完成度に私はしばらく動けませんでした。この作品はテレビで一回しか放送されていないのは視聴率が取れなかったらしいですが、この作品はCMで途切れると魅力は半減してしまいます。1つのエピソードが終わって ごく自然に場面展開して次のエピソードがつづく 冒頭のじゃりン子チエを思わせる花札をモチーフにしたオープニングから結婚式へ ミヤコ蝶々によるキクチババの人生訓が素晴らしい 真面目に硬直して一人でなんでもやるんじゃなくて 苦しい時は家族を頼って 家族だっていいかげんなところもある それでも問題なし