これはこれで…

独ソ戦においての最大にして最後の大戦車戦として 有名なクルスク戦ですが、ヒトラーの政治的な焦りから 計画された戦いだったとは知りませんでした。 当時中立国であったトルコに対して、連合国側からの 同盟への接触があるのを知り、スターリングラードの敗北で 失われつつあった権威、国力をトルコ側にアピールし、 牽制するのが目的だったようです。 (確かにこの戦いはドイツ側も新兵器のオンパレード、 まさに戦場がデモストレーション会場になっています。) 作戦開始時期の遅れ、情報漏れによってロシア側に、 防御陣地の構築の時間を与えてしまったのも大きく、 物量差が否めない中、戦術に長けたドイツ将兵の力量で、 かなり善戦しているのがわかります。 負傷車両も回収修理を施し、再び前線に送り込むなど、 戦場以外での努力も見えてきます。 クルスクを例えた、著者の言葉ですが、 『プロのボクサーでも、次から次へと 100人以上の素人を相手にすれば、 いつかは疲れて避けれるパンチも当てられ、 やがてはダウンしてしまう』 まさにそんな感じの、戦略的にも無意味に終わり、 今後の戦闘に、致命的な損失を残した戦いでした。 研究資料を基に淡々と記述されているので、 「パウル・カレル」のような『読み物』ではないですが、 よく言われる、単純にドイツの一方的敗北ではなかったことを 『数字』で示してくれている書物です。