正確には『ゴーストライターの仕事術』というべき内容です。この限りにおいては、効率的な展開のノウハウが参考になるかと思います。ただ、現役ライターの中には、著者の言うように「書くことが好きだから」というアマチュア的な発想で仕事をしている者は少なく、何かしら「世の中に言いたいことがあるから」というのが現実ではないでしょうか。問題は、その「言いたいこと」に関する仕事で食べていくことが、通常は非常に難しいから(逆に言うと、仕事を選ばなければ、仕事の拡大や収入を上げていくことは、言われているほど難しくないのです)悩む者が多いのです。ですから「言いたいこと」が特にないとか、テーマにほとんどこだわりがないタイプのライター(および志望者向け)の本です。それと、掲げられているビジネス文例(売り込みの手紙など)の言葉遣いなどが、私などから見ると、かなりザツな表現に見える部分が少なくないのが気になりました。また、ライターとしての熟練度に関するくだりで、一例ですが、上級者インタビュアーの例として、取材対象者の直接の聴き取りですませるのではなく、その著作や講演録など種々の資料を参照し、著者の了解を取った上で、必要に応じて原稿に加味するとあります。これは、まともなライター(インタビュアー)ならだれでもやっていることです。著者に対して含むところはないのですが、ここ20年ぐらい続いてきた業界人(著述業者)全体のレベル低下を、ここでも実感させられるような読後感でした。