著者はあの国民的アニメ「あたしンち」や「ちびまる子ちゃん」などを手掛ける脚本家。 この本は著者のデビューから現在までの脚本家人生をつづった笑いあり涙ありの実録エッセイである。 文体はフランクで時々挿絵もあり、スルスルと読めてしまう。 しかしそこに描かれている脚本家の世界はあまりにもヘビーだ。 面白いシナリオが書ければいいというものではない。そもそもシナリオを書かせてもらうところまで中々たどり着けない。プロデューサーたちは曲者ぞろい、やっと取れた仕事をふいにされたことも数知れず。同期や後輩に先を越されていく不安、負けじと頑張るも立ちはだかる先輩ライターたち… コンクールで賞を取り、華々しくデビューしたはずだった著者を待ち受ける様々な困難。著者がそれらを乗り越え、今も脚本家として活躍できているのはもちろん才能や運もあっただろう。しかし何よりもそこには血の滲むほどの努力があった。物語を書くのが好きだからこそ、この道でやっていくのだと決めたからこそ、誰に何と言われようとも著者は決して諦めなかった。 サブタイトルは「私はいかにして折れないハートをゲットしたか」。そうは言っても元々やっていける素質があったのでは?と思うかもしれない。しかし好きなことで傷つくことはそうでないことで傷つくよりも遥かにつらい。厳しい脚本の世界においてどうやって自分を見失わずに書き続けてこられたのか、この本は創作に限らずあらゆる世界で七転八倒する我々が再び立ち上がろうとする際の心の支えになってくれるだろう。