生物は環境中にある匂い・フェロモンなどの化学物質を嗅覚で感知して適切な行動をとる。これら生物の個体間のケミカルコミュニケーションに使われる物質の同定は、古くからガスクロマトグラフィーやHPLCなどを用いて進展してきたが、生物側の受容機構の解明はその複雑さゆえに解明が遅れていた。しかし、1991年の嗅覚受容体遺伝子の発見以来、ようやく化学受容のメカニズムを分子生物学的手法で解析できるようになり、分子から受容体レベル、その後の神経レベルまで研究が進んできた。さらに、2000年前後の味覚受容体遺伝子の発見もあり、化学感覚のメカニズムの全貌が明らかになりつつある。本書では、匂い・フェロモンの同定法、嗅覚・味覚受容体の構造・機能・進化、そして化学感覚における神経回路そしてアウトプットとしての行動へつながるメカニズムなど、基礎から最近の動向そして今後の展開まで議論して、化学感覚の生物学的意義と進化を、化学的側面から明確にする。


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