なんて美しい映画なのだろう。 なんて切ないのだろう… なんて哀しい… 12歳の姿のまま孤独の時を生きる吸血鬼のエリと孤独を抱える12歳の少年オスカーの初恋。 “永遠の命”、その言葉から醸し出される、甘い誘惑の香りと冷たく暗い孤独の臭い。 絶大な力を持ちながらも、マイノリティであるが故に迫害され滅びゆく悲しさ。 共感や共有を旗印に徒党を組む大衆とは異なり、永遠の時を共に歩める“その人”を探し求め続ける一途さ。 それが、吸血鬼が発する耽美さであり悲しさである。 その魅力を、幼い二人の初恋と絡め見事なまでに表現したのが「ぼくのエリ」。 “今のまま変わらない関係”を願い、目の前のオスカーの首筋から漂う甘美な血の臭いを感じながらも、じっと耐えるエリ。 共に悠久の時を過ごしたい思いも強いが、永遠に続く暗く長い苦難の道をオスカーに歩ませたくはないが故に。 数ある吸血鬼映画で、こんなにも切ない映画があっただろうか…。