歴史に翻弄された人々との魂のふれあい

ベトナム在住の著者のかかわった NHKのドキュメンタリー番組『遥かなる父の国へ~ベトナム残留日本兵家族の旅~』や、ご高齢の母親を呼び寄せて暮らした 日々の足跡を映画化した『ベトナムの風に吹かれて』(主演:松坂慶子)、また その原作 (同タイトル:こちらは著者の生い立ちや人生も書かれている) などから知る得る、不器用なほど真っすぐ力強く生き抜いてきた著者の総括か。 終戦後のベトナムでの歴史に埋もれていた出来事を、著者が独自の視点で可能な限り調査し、現地の人々と深くかかわり、戦争とは何か? それが残したものは何か? と問いかけている。 歴史的な背景については、「専門家ではないので」と記し、その道の方々から詳細を寄せていただくなど、構成にも無理がない。実際、当時の状況を学べ、把握しつつ読み進められる。 「戦争の落とし物」……。徐々に薄れてしまいがちな、しかし、決して葬ってはならない、そんな言葉の重さが胸を打つ。 幅広い世代にお勧めしたい。