二十世紀最大の個人全注釈
この本の元になっているのは、
1冊1万円超するような豪華版の本で、
全10冊+別冊2冊で出版されていたものです。
実は大学生の頃、その豪華版『萬葉集釈注』の
巻第二十の校正に携わっていました。
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大学にそろっているので不便は無いというものの
個人的に欲しくて、ただ、
全てそろえると10万円超という金額にひるんでしまい、
研究対象の収録されているものだけ数冊買いました。
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最近、この文庫本の発売を知ってびっくり。
驚くほど安価です。心おきなく全巻そろえようと思います。
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伊藤博先生がひとつひとつ語り聞かせてくれるように
丁寧に解説してあって、万葉集に初めて触れる方にも
読み物として素直に楽しめる、一番おすすめの注釈書です。
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【巻一】の〈雑歌〉【巻二】の〈相聞〉〈挽歌〉、
2巻あわせて万葉集に特徴的な三大部立の一群となっていて、
【巻一】冒頭の雄略天皇歌「籠もよ み籠持ち
掘串もよ み掘串持ち…」の求婚歌はあまりに有名。
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他にも額田王、柿本人麻呂、大津皇子、志貴皇子、有馬皇子など、
万葉集の中でも古い時代(白鳳期)を代表する歌人が多く登場します。
歴史的な事件と関わる歌も多く、
古代ファン必読の巻だと思います。
個人的には、大津皇子と大伯皇女姉弟のやりとりなど是非
伊藤博先生の解説で読んで欲しい歌群。
古代の人々の息づかいまで聞こえるように感じます。
また、挽歌という万葉より後の歌集からは姿を消す部立も注目です。
人の死を悼む心が歌という形を通して、今の時代にも深く伝わってきます。
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