20世紀最大の個人全注釈

「万葉集」の歌一つ一つを 伊藤博先生が話して聞かせてくれるように丁寧に 読み解いてある、20世紀最大の個人全注釈。(だと思います。) 万葉学会ではすでに定説ともなっている新解釈、新訓などもあり、 また、各歌をその背景も含めて楽しめる研究書です。 研究書といっても、一般の方で万葉集を読んでみたいと思う方にも、 現時点で最高の本ではないでしょうか。 ふつうに読み物として楽しめます。 * 【巻九】は、雄略天皇歌を冒頭に配し、 作者が記してある歌を多く収録しています。 『柿本人麻呂歌集』や『高橋虫麻呂歌集』を軸に、 雑歌・相聞・挽歌の分立てを持つ巻。 個人的に注目は「水江の浦の島子を詠む一首」。 そう、あの「浦島太郎」の原型とも言える歌です。 古代における浦島さんと現代の話との差や共通点に驚きつつ、 万葉歌を楽しめるのではないでしょうか。 * 【巻十】も『柿本人麻呂歌集』とその他の古歌集を軸に、 作者未詳歌を多く収録しています。 分立ては、四季ごとの雑歌・相聞。 (春雑歌・春相聞・夏雑歌・夏相聞…) 秋雑歌の"七夕大歌群"は圧巻。 注目に値します。