女たちが主役で、家康が脇役で面白い。

家康をめぐる正妻と側室の短編小説6編。築山御前に始まり、阿茶の局まで、家康の生涯を裏側から見ているようで面白い。どの短編も場面が脳裏に浮かび、まるで映画を見ているようで一気に読んでしまった。涙あり、切なくもあり、反面、家康を悩ませ振り回してしまう痛快さもあり、どの女たちも家康の寵愛を受けたのは頷ける。個人的にはお夏の方と茶阿の方が推し。また、史実を上手く取り込み、主役以外の登場人物もバラエティに富んでおり、ストーリーを上手く運んでいる。解説にあった『按針』や『家康の遺言』の短編集も読んでみたいと思う。