混迷の時代に知性という武器を身に付ける

コロナ禍で陰謀論者が増えたが、SNS上では特定の陰謀論者に熱狂する人々、自分と違う意見を持つ人を工作員扱いする発信者なども頻繁に見かけ、著者が言うように新興宗教やスピリチュアル系が今は陰謀論(陰謀論カルト)に変わってきていることを実感している。 この本では、別々に見える新興宗教やスピリチュアル系、近年増加した陰謀論カルトが実は全て我々の思考を退化させるニューエイジ思想から始まったもので、二ューエイジとはそもそも何か、人々のニューエイジ化の先には何が待ち受けているのかが詳細に解説されていて、大変勉強になった。 コロナ禍でのQアノン、ガーシー、参政党の盛り上がりにも触れられていて、特にガーシーのやっていたことがメタバース、ステークホルダー資本主義の布石になるという著者の長期的な目線の考察に納得がいき、世の中を見る上で参考になった。 陰謀論者の本といえば、突拍子がなく視野が狭いものが多く、陰謀論者は頭が悪い、頭がおかしいというイメージに拍車をかけてしまっている場合があるが、論理性、客観性を重視して書かれたこの本はそれとは違い、日本陰謀論界を俯瞰的に冷静に分析している。 ただ、フラットアース説を知っていることが前提で書かれているので、フラットアースを初めて知った人にはこの本の内容が伝わりにくいと感じた。また、残念ながら日本では、宇宙に浮いていて、海の水が流れ落ちてしまっているフラットアースモデル(トンデモフラットアース論)が有名になってしまっているので、このイメージを持ってこの本を手に取られると、この本の内容が台無しになってしまう。文中にトンデモフラットアース論についての記述はあるが、著者単独のフラットアースだけを解説した書籍があったら良いと思った。 著者は心理分析にも長けていて、支配層がどのように大衆を動かしていくのか、よく理解できる。人によっては著者は悲観的に物事を見すぎると感じるかもしれないが、冷静に現状を分析し、陰謀論者のレベルアップを図ろうとアドバイスする姿は前向きで情熱的にも思える。 コロナをきっかけに世の中の異変に気づいた人、低迷する日本陰謀論界に辟易している人、また陰謀論者でない人が「陰謀論者は頭がおかしい」と決めつける前に是非読んでもらいたい一冊である。