物足りなさと作者の力量不足を感じました

正直言って物足りなさを感じました。「まんが未知+」というテレビ番組の中で、あの「血の轍」の押見修造先生がスゴイ漫画として紹介されていたので楽しみに読んだのですが、全体的にストーリーのテーマというか設定への踏み込みが甘い上に、全篇を通じて無駄なカット(シーン)が多いように思われました。 主人公の男子高校生・麻倉将太は、 1.隠れて女装をしたい嗜好があり、しかも 2.女性になって大勢の男性から性的な虐めを受けたいという願望があるにも関わらず、 3.好きでもない男とのキスは想像するだけでも気持ちが悪い、という精神を宿しています。 この設定だけでも色々と深掘りはできた筈なのに、同じ演劇部に所属している佐山菜月という女子高生のキャラクターと立ち位置がイマイチ掴みづらく話のまとまりがぼやけてしまっています。更に彼女は将太の秘密を知ってしまい、それをきっかけに将太に対して色々と難題を押し付けてきます。この辺りの展開が作者の意図としてはストーリー展開上必要だったのかもしれないが・・どこか主人公の内包している心の不安定さを繊細に描く妨げをしているようにしか思えません。厳しい言い方をすると、「このテーマと設定で押見修造先生に描いて頂けたならどんなに良かっただろう・・」と切に思ってしまいます。 全体的に脇役の描き方や状況説明のための会話のやり取りなどにあまりにも無駄が多く、作者の経験不足を痛感させられます。残念ですし、せっかくのモチーフを生かし切れていな事を本当に残念に思います。