内容は初歩的でした。

著者と同様、.net環境からネイティブのOpenCLライブラリーをコントロールしたいと考えておりました。 始めNuGetでc#用ラッパーを試用していましたが、どれも全てメインテナンスが行われていない、マニュアルが無い、機能が脆弱という不満を抱き、使用を諦めたのは著者の考えと同じです。 そこで、自分でOpenCLのラッパーを作ることに決め、この書籍を購入しました。 .Net環境でのネイティブDLLのメソッドとの入出力や、CPUのビット数の合わせ方は、わかり易い構成法で解説されていて役に立ちました。 オブジェクトの扱い方がマネージドとアンマネージド間で変化する場合、ガベージコレクターの起動によって何かに支障が出るようですが、その支障の出方と解決法には触れていません。 こちらでも各種の書籍やWEBサイトの記述をもとに学習していますが、著者が解説を見送った「ラッパーでのクラスの公開」を使わないとガベージコレクター起動時の支障発生は防止できないと考えておりますので、今後は詳細な解説書を入手して研究を続けたいと思います。 OpenCLについての解説内容は、初心者向けに記述されているとしか感じられません。並列処理のサンプルプログラム、特にカーネルの記述については、本書を読む前から基礎を学習していた読者にとってはあまり収穫の無い内容になっていると思います。c[GID]=a[GID]+b[GID]; だけで終わるような処理はほかの文献でも解説例がありふれていますから、並列処理でソートを行うなど、処理結果が他の処理から参照されるなどの複雑な使用例を取り上げて欲しかったです。 最終章ではワークグループ数についての解説が出てきますが、ワークグループ数をハードウエアの構成に応じた最適化を行うと処理を高速化できるらしい(他文献より)のですが、そこまでは踏み込まず浅い意味の解説をして逃げられてしまったという印象です。 数箇所に、校正の見落としと思われるタイプミスや誤記があり、読んでいて目立ちます。