著者の大学卒業後の編集者時代を回顧する自伝。エスタブリッシュメントに対してはエビデンスを、理念・理想に対してはリアリティを対置する著者の逆張り路線が、まさしく時代の落とし子であることを窺わせる。バブルと軌を一にしたインターネット出現以前の出版好況、オウム真理教事件へと結実する精神世界系やサブカルの隆盛。時代の熱狂に押し流されながらも、その奔流の中に溺れてしまうことなく、どこか醒めた目を保っている。きっとそのルーツは、若き日のドストエフスキーへの心酔や、ポストモダン現代思想への洗礼にあるのだろう。