最高のコンセプトアルバムでしょう。

80年代というプログレが廃れていった時代、ピンクフロイドの面目躍如たる貫禄を見せつけた堂々たる大作である。 ロック史における初期の代表的なコンセプトアルバムには、Beatlesの「ホワイトアルバム」や「サージェントペパーズ」、The Whoの「トミー」や「四重人格」、キンクスは「フェイス・トゥ・フェイス」を筆頭に5作ほど作成しており、英国4大ロックバンドの内、実に3バンドがこの分野でそれぞれの個性を引き出した作品を残している。 無論、この他のバンドでも有象無象合わせれば、2019年の歴史の中で、コンセプトアルバムと称されるものは多数存在はするのだが、オペラの様にストーリー性が一貫しており、尚且つキャッチー性を持ち合わせたアルバムというものは、この作品以上の存在は無いかと思う。 90年代に入り、ドリーム・シアターやミート・ローフなど、現在でも白眉であるコンセプトアルバムはこの「ザ・ウォール」の後にも出ているのは確かでは有るのだが、矢張り上記で挙げたようなストーリー性と楽曲のキャッチーさを併せ持ったアルバムは私が知る限りでは存在しない。 本作と「ファイナル・カット」は特にバンドとしての結束は無く、ほぼロジャー・ウォーターズの独壇場で作成されたといわれているが、ギルモア等のファンからすれば残念かもしれないが、よくぞここまでの作品をロジャーが作り上げてくれたという感動の方が個人的には大きい。(よってこれらの作品はゲストミュージシャンの参加がとかく多い。) 英国5大プログレバンドの作品は、現在でも人気健在で再販が繰り返されているものがほとんどであるが、楽曲も70年代のプログレ全盛期のモノと比較すると短い物が多いので、この盤から入ってみるのも面白いかと思う。