森見ワールドにはじめて浸かる
農学部卒という異色の経歴を持つ森見氏の世界に足を踏み入れるきっかけとなった逸作。はじめに書いておくが、氏の文体や表現方法は独特で、生理的に受け入れられないという方がいるのは否めない。簡単に言えば、すべてにおいて濃ゆいのである。
理系の方の共通の性質のような気もするが、目で見たこと、あるいは感じたたことをもれなく書かなければならないかのように、ひたすら描写が細かい。氏はまさにその典型(計算済み?)で、情報が息もつかせず読者の脳内になだれ込んでくる。それが、時に重く感じられる。いいかえれば、くどいのである。
行間を読む作業が全くないので、おそらく教科書や試験問題に最もなりにくい作者のひとりだろう。
著者の小説は、おそらく漫画をそのまま文章にしたのに似ている。ひとこまひとこまに書かれている情報をちょうどすべて書き尽くしたような感じに似ている(実際、この小説は漫画化されているそうだ)。
ところで、漫画といえば、巻末に海羽野チカ氏の「かいせつ(?)」が掲載されている。私は、小説は後ろの方から読むことがしばしばあるという困った性格の持ち主であり、今回もついつい「かいせつ」を先に読んでしまった。そのせいで、読んでいる最中、海羽野氏の書くちょっとロリーなキャラの乙女が、脳内を所狭しと駆けめぐった。銅鑼をもって頭の中を駆けめぐっている感じだった。そんな状態で、どこまでが現実で、どこまでが虚構、誇大なのか分からないままに、ついに読了。結果、私は、氏の世界にどっぷりと浸かってしまった。
はっきり言って万人に勧められないが、私の感想に共感できた方には、自信をもってオススメする。
他のユーザのコメント