興味があって購入しました
推理小説は滅多に読まない私ですが、この本を完読した後、私に残った感覚は、推理物としての出来や完成度より、人間という生き物について深く考えさせられた頭のしびれでした。
人間は、誰しもが、自分の犯してしまった罪を受け容れられるほど強くはありません。むしろ、ほとんどの人々は、何とかその現実から逃げたいと思うものでしょう。
それは決して弱さではなく、人間として当たり前の感情です。
その犯してしまった罪というのが、たまたま法に触れるものであってしまったときのみ、その人は犯罪者という肩書きがつき、この世界で自由を束縛されるのでしょう。
この世界のほとんどの人間は、常に己の罪に慄き、隠れ、逃げ出し、遂には自分に都合の良い作り事を築き上げ、それを己に信じ込ませるのです。
その人自身の作った世界の中でのみ、その人は罪から開放された気分になれるのでしょう。
この小説を読んだ後、私は、ひょっとしたら今の自分自身も、自分の都合の良く作り上げた物語の中に住んでいるのかもしれない…という疑念に襲われました。
それが、例えこの世界を生き延びて行くには当たり前の術なのであるとしてもです。
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