東野圭吾にとってパラレルワールドというのは、一つの実験なんだという気がする。現実的には並行世界が存在することを描くのは難しいが、同時並行的に一つの世界を別視点で描くことから始めて、何かのスパイスをきかせることによって、物語が実は並行世界ではなく、現実のものであることを描く手法がいくつかの作品でためされている。(「百夜行」などは最後まで主役の二人は絡まないからすごい。あれはある意味作者としての完成形なのかと思う) 本作品もその一つで、実に科学的な設定を使いながらも、友情と愛を主題にした作品である。特に主人公の友人がいい。読み返すたびによくなる。