世代でくくられる理不尽な国

池井戸潤氏の出版された作品は、ほぼ完読しています。この作品は、ひさびさの現行がらみの設定で、「バブル」シリーズの半沢が主役として左遷された関連証券会社に出向している状況。相変わらず、銀行内の派閥争いやポスト争いを横軸にITベンチャーの買収案件を縦軸にぐいぐい読ませる筆致はさすがです。広告や帯のキャッチは、世代間争いを想起させますが、半沢が強く貫いている組織や世代の都合で仕事はしないという信条は、ロズジェネ世代への応援歌のようにも読めます。バブル世代の半沢に筆者の世代間が重なりますが、バブルとロスジェネだけで、日本の社会や経済が回っているわけでなく、オイルショック後バブル前の世代(私はこの世代かな)など50代前半の社会中枢に近い世代の苦悩や逃げおおせてうまい汁を吸っている団塊世代などについても、今後のテーマとしてぜひ「バブル世代」を超えて描いてほしいものです。本作は、他の池井戸作品同様にぐいぐいと読み進められ伯母の手術立ち合いの待ち時間という短時間であっという間に読破できました。ちょっと意外なのは、本書の装丁。ハードカバー価格と判型であるにも関わらずソフトカバーの簡易製本でまるで文庫本を大きくしたような本です。読み捨てることを前提にしたコスト削減なのかもしれませんが、出版不況を自ら進めるような出版社の経費節減に本好きとしてはちょっとがっかりさせられます。いずれ文庫化するのであれば、最新のハードカバーは売れなくなるでしょう。