巻末の解説によると、著者は「トリックと犯人の意外性だけで読ませる作品には物足りなさを感じ」てこの作品を書いたとのこと。読者としても(純粋にトリックの面白さを楽しみたい方もおられるでしょうが)やはり、ストーリーの背景に社会問題や社会情勢、単なる恋のさや当て等にとどまらない深い次元における人間同志の確執といったことが取り上げられている作品の方がより面白く感じられるし、引き込まれます。この「宿命」の背景にあるのは、ひとことで言うなら「第二次世界大戦の爪あと」かもしれません。