「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」 昔別れた恋人である沙也加に頼まれ、彼女の記憶を取り戻す鍵になるらしい場所に同行した私。 そこに建っていた家はごく普通に見えながら、違和感を与えてくるもので…… おもしろかったし読みやすかったです。 次は次は? とどきどきしながら一気に読むことができました。 この辺の記述が怪しいな、と思わされた部分はいくつかありましたが、それでも伏線の数とそれを回収する力はさすが。 たった二人の登場人物が家の中という本当に限られた部分で文庫本一冊分のサスペンスを繰り広げたんだな、と思うとぞくっとします。 推理の部分だけでなく、微妙な距離で揺れ動く沙也加と私の関係もよかった。 最後のあっさりとした終わり方は東野圭吾らしくてとても好みでした。 ただエピローグの私の独白は、なんだかちょっとありきたりで無理矢理な気もしました。 特に残るものはないけれど、気分転換やストレス解消にはぴったり。 読み終わってすっきりしました。