解いてはいけない、哀しき方程式。

この作品は、『容疑者Xの献身』が下地にあってこそのものだと思います。 しかし、ミステリーとしては『容疑者Xの献身』や『聖女の救済』のトリックの 方が上であり、本作品のトリックは、ある程度察しが付くかもしれません。 とはいえ、それを補って余りある人間ドラマになっています。 (湯川先生と少年との交流など) 科学的トリックだけを扱うミステリーでないところに、この作品の重みがあると 思います。 「この男にごまかしは通用しない。愛する者のためなら罪を被ることも 躊躇わない―そういう「献身」が存在することを湯川は誰よりも知っている」 (388ページより)